バロック・ダンス懺悔録

聖和笙のバロック・ダンスに纏わるブログです!                            Les Confessions pur la belle danse.

今週の青山ヴェルサイユ・ダンス・アカデミーは、Zのメヌエット、ブーレ・ダ・シール、
ジグ・ド・ローラン、ラ・フォルラーナ、ラ・マリエ、ラ・ブルゴーニュと9月の舞踏会に
向けた練習をします。初めての方から中級の方まで楽しめる内容です。
全曲の楽譜が出来ましたので、踊りと演奏を合わせながら楽しく練習出来ればと思います。
先日、NHK古楽の楽しみを聴いていると、リュリ作曲のラ・マリエが流れて来ました。
その演奏ではAの部分とBの部分をグルーブやテンポを変えていたので、無意識に
この演奏で踊れるかなと考えてしまいました。
リュリはダンスの名手だったそうで、成る程、踊りと音楽が深く結びついています。
演奏者はダンスを、ダンサーは演奏を行なう事がヴェルサイユ・ダンスを理解するのには
不可欠と思いますので、出来る限り楽器演奏で踊るようにしています。

アルゼンチン・タンゴの師に誘われて、鎌倉は由比ヶ浜の海の家に、子供の頃以来に
遊びに行って来ました。私の子供の頃に祖父は海辺に住んで居て、夏には海の家を
経営していたので、私にとって砂浜や海の家はとても懐かしい場所なのです。
美男、美女のダンサーと海辺で美味しいお酒を飲んでとても楽しい一時を過ごしました。
昔のディスコやクラブ、踊りと音楽の話して盛り上がりました。意外と遊んで
居た場所は同じだったりして。
ダンサーの水着姿を見ていると、改めてタンゴは美しい体を作る踊りだなと思いました。
そして、ヴェルサイユ・ダンスもクラシック・バレエやジャズ・ダンスや
アルゼンチン・タンゴに負け無い様に発展して欲しいなと思った一日でした。

私の好きな2つのダンス、ヴェルサイユ・ダンスとアルゼンチン・タンゴは、
どちらもカップル・ダンスです。カップル・ダンスの基本と本質は、
パートと向き合って踊る体験です。それは私にとってとても重要な体験で、
どれだけ時が経ったとしても、たった一度だけであったとしても、
素晴らしいパートナーと踊った事は何時までも忘れる事は出来ないのです。
その意味では、ディスコやクラブで踊る事も、舞踏会で踊る事も私にとって
全く同じ体験です。素晴らしいダンサーに踊りを学ぶ事と同じかそれ以上に、
これまでに出会った素晴らしいパートナーは私に踊りを与えてくれました。
この所、ヴェルサイユ・ダンスでもアルゼンチン・タンゴでも、その様な
パートナーの方と踊らせて頂いていて、ダンサーとしてとても幸せな日々を
踊っています。
これからもパートナーと踊る事を大切にして踊り続けて行きたいと思います。

現代楽器の基音をA=440Hzとすると、ヴェルサイユピッチは、1音下がった
音程になります。古い楽器は響きを大切にして現代楽器よりピッチが下がるらしいのです。
その為に、現代の楽器と古楽器で合奏する際は、現代楽器が1音下げるか、
古楽器が1音上げるかしないとなりません。9月に舞踏会を開催させて頂く
コーマル城にあるスピネットもヴェルサイユ・ピッチです。
そこで楽譜を作る際は音楽ソフトを使用しています。一度、音程を
コンピューターに入力してしまえば転調した楽譜を印刷する事も自由自在になります。
またヴェルサイユのマニュスクリプトはホ音記号譜で記述されていますが、
ト音記号として読み替えて1音上げればト音記号楽譜として印刷出来ます。
全てヴェルサイユ・ピッチの楽器で演奏をするのが、理想ですが、
なかなかそうも行かずにおります。音楽ソフトが発達して、
とても便利な時代になりました。

今回前半は、市川智津子さんにご参加を頂き、レザール・ダポロンとの音合わせ、
ペルセのパッサカイユとアルシードのジグを行いました。ペルセのパッサカイユは、
コーマル城舞踏の間の為にアレンジを加え印象的なシャッセの部分を対角線に
取って踊る事にしました。マイルストーンとなる振り付けと、ポール・ド・ブラの
方向の認識合わせも行い、リ・エ・ダンスリ直系のヴェルサイユ・スタイルで踊ります。
舞踏譜に残された女性のソロでは最も難しい曲となるアルシードのジグは、
一曲の中にも多くの見せ場があって当日は市川さんの素晴らしいパフォーマンスが
期待出来ます。後半は、ラ・マリエの1、2ページを復習。様々なパが次々と現れて、
いつ踊っても飽きる事の無い楽しい一曲です。
踊る為に大切な基礎についてのレクチャーを交えて、有意義な一夜になりました。

明日の青山ヴェルサイユ・ダンス・アカデミー。前半と後半2部に分けている為、
ご来場にはご注意下さい。前半、19時から20時は、アポロンのアントレ、
アルシードのジグ、ペルセのパッサカイユ、後半、20時から21時は、パヴァーヌ、
ラ・ブルゴーニュ、ラ・マリエ、エマーブル・ヴァンケール、ブーレ・ダ・シール、
Zのメヌエット他。レザール・ダポロンが生演奏で伴奏いたします。
9月1日のコーマル城、10月3日の滝野川に向けて練習致しております。
初めての方も大歓迎。参加費1000円。お待ち致しております。

フランス演劇に興味があって、ラシーヌ、コルネイユ、モリエールを知らない人は
いないでしょう。ラシーヌとコルネイユは悲劇を、モリエールは喜劇を書きました。
ルイ14世が子供の頃に宮廷で泣いていた時、イタリアの喜劇役者スカラムッシュが
現れると途端に泣き止んだと言われていて、リュリもモリエールもスカラムッシュの
影響を大きく受けたと思います。リュリは初めダンサーとしてルイ14世と共演して
気に入られて、その後、音楽と作曲でヴェルサイユ楽派の権力を握って行きます。
ルイ14世の下でJ・B・リュリとモリエールは、コメディ・バレというジャンルの
作品群を作りあげ人気を博し、中でも「町人貴族」と「気で病む男」は現代でも
良く取り上げられます。「町人貴族」にはスカラムッシュの踊りが入っています。
モリエールの最後の作品「気で病む男」のはリュリと仲違い後でしたので作曲は
シャルパンティエです。
リュリはモリエールと決別した後、キノーと組んでトラジェディ・リリックという
作品群を作ります。カドミュス、アティス、テゼ、アルミード等グレコ・ローマンの
神々を主人公に詩的悲劇を書き続けます。コメディ・バレの頃の瑞々しい音楽も
トラジェディ・リリックの深化を遂げた音楽もどちらも素晴らしく、
バッハやパーセルやグルックに与えた影響を考えれば、フランスの作曲家では、
ベルリオーズ、ドビュッシーに先立つ巨大な存在と言えるでしょう。

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